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特別会計改革と行政改革推進法案

平成15年2月、衆議院財務金融委員会において、上田清司衆議院議員(現埼玉県知事)の特別会計に関する質問に対して、当時の塩川財務大臣が、特別会計の無駄遣いを称して、「母屋でおかゆ、離れですき焼き」と表現し、税金の無駄づかいの温床となっている特別会計が一躍脚光を浴びることとなりました。翌平成16年11月、野田佳彦座長のもとに民主党特別会計ワーキングチームが発足し、私は事務局長として改革案の取りまとめに尽力しました。ワーキングチームでは有識者及び個別の特別会計の所管省庁からヒアリングを重ねるとともに、特別会計ごとに担当者を割り振り、精査を行いました。その結果を平成17年8月に特別会計改革の野田プランとしてとりまとめました。基本方針として、すべての特別会計をゼロベースで見直し、危機的な財政状況やその改善に向けた財政透明性の確保を勘案して、その上でなお必要不可欠なもののみに限定するとともに、財政健全化に資するものとすることを打ち出しました。具体的には3年を目途として31特別会計60勘定の内、24特別会計51勘定を廃止することなどを提示しています。

さらに同年12月、直嶋正行民主党決算行政監視調査会長のもと、私が同調査会事務局長を務め、直嶋プランを策定しました。野田プランをさらにブラッシュアップした内容で、31の特別会計をさらにゼロベースで見直し、29 特別会計を廃止するなど、その骨格は翌年国会に提出された民主党の行政改革推進法案に受け継がれました。

平成18年3月、政府が提出した行政改革推進法案に対応するため、座長を直嶋政調会長代理、私が事務局長として行政改革プロジェクト・チームが発足し、行政改革推進法民主党案を作成して第164回国会に提出しました。

民主党案のポイントは二つあります。一つは現在政府が行っている事務事業を聖域なく見直し、不要な事業、民間にできる事業は廃止をした上で、補完性の原則に基づいて事務事業の地方移譲を進めることによって国と地方の役割分担を明確化し、国、地方ともに新しい政府をつくることです。もう一つは天下りの抑制、官製談合の根絶に向けた厳しい措置を盛り込んでいることです。さらに、政府提案に対する民主党の考え方も盛り込みました。政策金融改革については、借り手の立場に立った改革の推進、債務保証、利子補給に絞った政策金融のあり方などを提案し、特別会計改革については、省庁の財布となっている特別会計の原則廃止の立場から、それぞれの特別会計の改革の方向性を明確に示しています。公務員については、地方分権の強力な推進の結果として縮小される国の規模、機能に応じた人件費の削減を規定するとともに、労働基本権の原則回復など公務員制度の抜本改革を提案しています。

上述しましたとおり、私は、民主党の各枠組みの事務局長として、民主党の特別会計改革案並びに行政改革推進法案作成において中心的役割を勤めてまいりました。同時に本会議及び予算委員会等において、特別会計で行われてきたさまざまな無駄づかい等について政府を厳しく追及するとともに法案提出者として答弁に立ちました。

 

「私のしごと館」・・・無駄づかいの構図

平成17年2月「私のしごと館」などの無駄づかいで悪名高い労働保険特別会計について追及すべく、予算委員会の質問に立ちました。

労働保険特別会計は、実質的に労災勘定、雇用勘定の二つの勘定から成り立っています。それぞれが保険料の名目で、事業主並びに国民から徴収した3兆9000億円もの巨額の自主財源を持っている特別会計です。ここにさらに一般会計から税金が4274億円も流れています。

この特別会計の予算書は800ページの大部となっており、アカウンタビリティとは程遠い大変分かりにくい構成となっていますが、紐解くとこの特別会計に関与する高齢・障害者雇用支援機構労働者健康福祉機構労働政策研究・研修機構産業医学総合研究所産業安全研究所雇用・能力開発機構福祉医療機構という8つの独立行政法人に、平成16年度3022億円、平成17年度は2853億円が予算として計上されています。しかし、実体はこれだけにとどまりません。厚労省の役人と格闘しながらやっとのことで提出させた資料には、関係する独立行政法人、認可法人並びに公益法人が、労災勘定においては3つの認可法人と29の公益法人、雇用勘定においては1つの認可法人と40の公益法人、これらに合わせて平成16年度では3792億円、平成17年度でも3608億円のお金が流れていたのです。平成13年当時に比べ、お金を流す器としての法人数は10も増えていました。この事実に対する所感を当時の尾辻厚生労働大臣に質しました。尾辻大臣は「国が直接実施するよりも、・・・ノウハウを有する法人が行う方が効率的であり効果的である場合には、各事業の性質に応じて、独立行政法人、公益法人等に補助金を出して、今やっていただいておる。」と全く問題の重大きさを認識しておらず、官僚の書いた答弁に終始し、自民党に任せていたのでは改革は不可能であることを改めて実感させられたのでした。

さらに、これら法人に天下っている役人の数を質し、労働保険特別会計から補助金等を支出している法人の役員等のうち厚生労働本省出身者が、平成16年度で51法人に対して延べ161名である事実を答弁させ、公費の還流と人の流れを明らかにしました。

不要不急の箱物事業についても質しました。スパウザ小田原といった有名施設の処分について譲渡が終わった1954施設の譲渡価格は122億円、一方、これらの建設費は4190億円。実に3%という安値でたたき売られた事実を明らかにしました。

さらに全国で1534カ所ある雇用促進住宅の整備費は9500億円に上ります。この建設が抑制される方向になって次に作り出された事業が「私のしごと館」です。

私のしごと館」の経費は雇用勘定から支出され、581億円もの巨費を投じて建設されたのでした。平成17年度予算における収入は、入館料が7200万円、その他の収入が1億300万円であり、それに対して支出は、15億7800万円に上るのです。毎年14億円もの運営費交付金という税金で賄われることになるのです。自民党による改革は特殊法人を独立行政法人に衣替えさせただけであり、関連法人の数が増加するとともに、3桁にも上る役人がこれらに天下り、新たな無駄な事業に税金をつぎ込むという、これまでと変わらない無駄づかいの構図を白日の下に晒しました。

 

特別会計の5つの問題点

平成18年4月、政府の提出した行政改革法案の審議を行う行政改革特別委員会で特別会計の5つの問題点を示しつつ質問に立ちました。5つの問題点の1点目は「特別会計の迷宮化効果」です。会計間のやりくりが複雑で非常にわかりにくい、迷宮化されてしまっているという点です。国民の監視の目が行き届きにくくなります。2点目は「特別会計の逆流防止機能」です。足りなければ一般会計からの繰り入れを受ける一方、余っても一般会計には返す必要がない。いわゆる剰余金という形でそこに溜まってしまうのです。3点目は「特別会計は別の財布」ということです。各省の思いどおりに使うことができ、特別会計により人件費を賄い、定員を確保することもできます。4点目は「特別会計ははなれでスキヤキ」です。有名な塩川元財務大臣の発言ですが、いわゆる財政規律が働かずに無駄遣いが起きやすいということです。以上5点についての問題意識を当時の谷垣財務大臣に質しつつ、政府案では特別会計の統合などに終始し、実質的効果が上げられないことを指摘しました。

 

特別会計に関する法律案代表質問

平成19年02月、政府の特別会計に関する法律案に対し、本会議で代表質問に立ちました。まず、特別会計の改革に対する基本姿勢を質しました。民主党の改革案ではすべての特別会計を一たんゼロベースで見直し、結果的に資金整理のために必要な国債整理基金特別会計と地方交付税特別会計の2特会以外の残りの29特会はすべて廃止としました。一方、政府案では、現行31特会を17にするとしていますが、実際に事業の単位となっている勘定ベースで見れば、現在の62を50に減らすだけにすぎません。また、統廃合も各省の範囲を超えないものばかりで、結局は勘定を寄せ集め、見かけの特会数を減らしただけです。つまり、ゼロベースの見直しを行おうとする民主党と、これまでの制度の延長線上で見直しを行おうとする政府案とでは、その特別会計の改革に対する基本姿勢が全く異なることを指摘しました。

改革が進まない原因は、事業自体の見直しが全く進んでいないからです。例えば、新設される食料安定供給特別会計では、自作農の創設という、終戦直後に行った農地解放を引き継いだ事業をいまだに実施しています。また、毎年度多額の不用額を生じている事業も、そのほとんどがそのまま続けられています。特別会計の改革は、単なる会計の見直しではなく、その背景にある事業を見直すことで、時代に合わないもの、不要不急のものを合理化もしくは廃止していくことが前提となるはずであり、政府案は、この事業の見直しにはほとんど踏み込んでいないことを指摘しました。

特別会計の問題点の1つ、逆流防止機能について質しました。本法律案では、予算の定めるところにより一般会計に繰り入れることができるとしていますが、特別会計の仕組みでは、剰余金は、まず積立金に積み立てるか、もしくは翌年度の歳入への繰り入れが前提となっています。これでは、様々な理由をつけ、これまで同様に剰余金を特別会計の中にとめ置かれてしまう可能性が高いのです。剰余金は一般会計へ繰り入れることを前提とすべき旨主張しました。

特別会計という別の財布があるため、官僚は仕事をつくり、無駄遣いを行います。「私のしごと館」や「スパウザ小田原」が典型例です。これらの箱物事業は、すべて国民が納めた雇用保険料、労災保険料を原資とした雇用3事業と呼ばれる事業の中で行われてきました。すでに成立した政府の行革推進法は、雇用3事業については「廃止を含めた見直しを行う」としていたにもかかわらず、この法律案では、3事業の存続が前提となっている矛盾を指摘した上で、保険料は将来の保険給付のみに充てるべきであることを主張しました。

さらに、特別会計で予算措置されている特会定員について質し、一般会計をいくら抑制しても、特別会計で増員できれば、公務員の人件費は減らないことを指摘しました。

私が「離れの地下室」と呼ぶ問題についても質しました。つまり特別会計では、「離れのすき焼き」だけではなく、その先に国民の監視の目が届かず、ガバナンスの利かない地下室とも呼ぶべき独立行政法人や公益法人が存在し、そこに官僚が天下り、特別会計から運営費交付金等の名目で予算が流れている事実を指摘し、このような資金の流れは原則認めるべきではない旨主張しました。

個別の特別会計についても質しました。政府案では、公共事業関係の特別会計は社会資本整備事業特別会計に統合されることとなりますが、港湾整備、治水など一般会計からの繰入財源に依存する会計が多く、特別会計として区分経理をする必要性がありません。また、道路特定財源については政府自身が一般財源化すると断言しており、特別会計として一般会計から区分する必要性が不明です。公共事業関係の特別会計を廃止して一般会計化しなかった理由を質しました。財務大臣及び国土交通大臣からは行革推進法に基づくと述べるのみで質問に対する明確な答弁はありませんでした。

特別会計には積立金などの不明朗な資金が多々存在します。例えば、現在、国民年金特別会計の基礎年金勘定には約7000億円の積立金があり、これは、昭和60年以前の国民年金任意加入者の保険料が原資であり、それが20年以上にわたり放置されたまま、この法律案でもそのまま年金特別会計の基礎年金勘定に移管されることになっています。また、現在の厚生保険特別会計の業務勘定にも、既に20年近くにわたり1兆5000億円もの資金が眠っており、これも年金特別会計業務勘定に移管されることになっています。これらは本来、年金給付の原資となるべき資金であるにもかかわらず、政府はその実態を明らかにしないまま長い間放置し、年金の被保険者には一切の説明を怠ってきたのです。厚生年金で毎年巨額の実質赤字が続く中、年金給付に充てるべき資金がなぜほかの勘定で放置されているのか質しました。

最後に国会審議のあり方について、行政を監視する立場の国会において、例えば、分科会審議の日程を新たに追加し、それぞれの特別会計について集中的に審議する機会を設け、分科会での特別会計の集中審議が終わらなければ予算案の採決を行わないなど、特別会計についてしっかりとした審議を行う体制を整えることを提案しました。

 

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