![]()
天下り根絶法案
政府提出法案はこれまであった2年間の天下り規制を撤廃するのみならず、「天下りバンク法案」と称されるように、国家公務員の再就職あっせんを新人材バンク「官民人材交流センター」に一元管理させようというもので、国家公務員の天下りをまさに国ぐるみで容認するものです。さらに、天下りの根本的原因である早期勧奨退職制度いわゆる「肩たたき」について全く言及がありません。肩たたきをして半強制的に退職させるにもかかわらず、「まだ働き盛りの退職職員を路頭に迷わせてはならない」などと、見当違いな理由を持ち出して、天下りバンクを公につくろうとするものです。
「みずからの人生はみずからが開く」、「自己決定をしていく」、この当たり前の人生観すら持ち合わせないひ弱な官僚を生み出す制度を、政府は改革の柱として掲げたのです。
これに対し、民主党案は「再就職の制限の強化」に向け、国家公務員の天下りを原則禁止する期間を、離職後2年間から離職後5年間に拡大するとともに、天下り先の規制対象を営利企業に加えて非営利法人等に拡大しています。また、「政府によるあっせんの禁止」として、各省庁による職員に対する再就職のあっせん等の関与を禁止し、「人材バンク」も設置しないこととするなど、「天下り根絶」に向け、実効性ある内容となっています。
本会議代表質問では法案提出者として答弁に立ち、それに続く内閣委員会では民主党を代表して法案の趣旨の説明を行いました。審議が開始されると、午前中は法案提出者として質疑に対する答弁を行うとともに、午後は自ら質問に立つというフル稼動ぶりでした。
事前規制を強化する民主案
審議では民主党案で規制を強化した理由について、法案提出者として答弁に立ちました。 政府提出の天下りバンク法案のように事前規制を撤廃し、行為規制のみに頼れば、天下りバンクによって堂々と天下りのあっせんが行われ、官民の癒着が現在よりも深刻になることは明らかです。世間の批判をかわすため天下りバンク内で他省庁の所管法人に天下る、いわゆる「たすきがけ天下り」をも可能とする政府案は論外です。
このような観点から、民主党案では、行為規制の導入にあわせ、事前規制についても離職後2年の規制を5年間へと延長することにより、官民癒着の阻止に実効性を持たせることとしました。さらに民主党案では、規制の対象となる天下り先を営利企業以外に拡大することにより、天下りの根絶を目指しています。事前規制を強化する民主党案こそが今求められている天下り根絶の処方せんであることを主張しました。
早期勧奨退職制度(肩たたき)
早期勧奨退職制度、いわゆる「肩たたき」は、国家公務員法で定められたものではなく、あくまで慣行として行われているものです。各省の課長、審議官、局長、これらのポストが限られているために、同期の中でポストにつけなかった者は、各省から公益法人や民間企業といった再就職先が用意され、肩たたきされて退職、転職していきます。最終的には同期入省組から事務次官1人だけが本省に残るというピラミッド形の人事制度は、世界的にも独特の慣例と人事院が評する特異な制度です。
この肩たたきがあるがために、役所は組織的に再就職先をあっせんすることが求められ、他方、民間企業は各省庁の権限のもとに天下り官僚を受け入れざるを得ない状況が生まれます。営利を追求する企業は、天下り官僚を受け入れるコストに見合う公共事業の受注や権益を求め、他方、天下りを受け入れる独立行政法人においても、運営費交付金の名のもとに、見合いのコスト負担を政府が受け持つことが公然と行われています。さらに、そのような官業癒着にメスを入れるべく毅然たる指導力を発揮しなければならない政治は、関係省庁を省益を守ることを見返りに、集票マシーンとしての業界の活用や政治資金集めなど政治家みずからの利益のために利用しているのが実体です。まさに、政官業の癒着の温床を生み出す根本原因がこの「肩たたき」にあると断言できます。つまり、天下りに起因する数々の諸問題の抜本的解決を図るには、この肩たたきの禁止が不可欠なのです。民主党案では、特定の事由が生じた場合を除き、職員に対し、定年退職日前に退職することを勧奨してはならない旨、法案中に明記しました。他方、政府案ではこの点について一切触れられておりません。
与党からは肩たたきを廃止するために人件費が増えるのではないかとの質問がありましたが、徹底的な国の事務事業の見直しを図った上で、3年程度の新規採用の抑制や役職定年あるいは専門職等スタッフ制度の採用により、人件費を抑制できる旨反論しました。さらに民主党は3年で2割の人件費を削減する目標を掲げているのに対し、政府は年金機構のように、独立行政法人化することで外見上の公務員の削減を行っていますが、その人件費は運営費交付金という国費で支払われており、実質的には人件費の減らないまやかしの削減実態であることを指摘しました。
独立行政法人及び特殊法人からの天下り規制
民主党案における独立行政法人や特殊法人からの天下りに対する規制についても答弁を行いました。
現行法では、非公務員型の独立行政法人や特殊法人の役職員が営利企業や公益法人等に天下る規制は存在しません。政府案でも、この点について手当てしていません。
独立行政法人や特殊法人から営利企業や公益法人等への天下りを背景として、随意契約などの税金の無駄遣いが行われていることから、非公務員型の独立行政法人や特殊法人の役職員に対しても、現行の国家公務員と同様の天下り規制を課すことが必要です。
また、中央官庁から特殊法人や公益法人等に一度天下り、一定期間過ぎた後に営利企業に天下りをするいわゆる迂回天下りは、独立行政法人や特殊法人の役職員の天下りを規制しなければ防ぐことができないため、政府案には防止不可能であることを指摘しました。
実績は7年間でたった1件
審議の間を縫って、現行の公務員人材バンクともいえる国家公務員退職者の再就職をあっせんする「総務省人事・恩給局人材情報管理室」の視察を行いました。視察では初期システム開発に約3000万円を投入し、専従担当者2人で業務に当たっているにもかかわらず、101件の求人の結果、7年間でたった1件の 実績しか残されていない実態が明らかになりました。
また、政府案で新たに設置を目指す「官民人材交流センター」への情報提供などの関与について、担当者は「求めがあれば応じる」とコメントしました。多額の税金を使う一方で、7年間の苦い実績は「新人材バンク」の制度構築に生かされていないのです。
現行の人材バンクは、年間5000通のパンフレットを求人先に送付してきただけで、実態的に全く機能していませんでした。職員の行政評価に対する対応についての質問にも、厳しい評価が求められてきたとの説明しかありません。この実績から見ても、政府が作ろうとしている「天下りバンク」の効果には改めて疑問を呈さざるを得ません。
検証なき設置
委員会審議では法案提出者として答弁を行うだけでなく、質問にも立ちました。視察を行った「総務省人事・恩給局人材情報管理室」の運用実体を質すとともに、7年間にたった1件という実績を見たとき、公務員退職者が民間企業にマッチングするのは難しいということが実績の伸び悩みの大きな要因であることを指摘しました。さらに、これは民間の市場原理に見合わないものであり、そうした検証もないまま、「官民人材交流センター」という新たな公務員人材バンクの設置に踏み切ろうとする、政府案の理不尽さについて当時の安倍総理を厳しく追求しました。
甘えの体質
「天下りバンク」設置を主張する与党議員からは、公務をしながら職探しをするのには支障があるとの指摘があり、これに対しては、逆に、「みずからの人生をみずからが切り開く」、この当然のことを行わないで、税金によって自分たちの次の人生を「どうか探してくれ」という、根源的な甘えの体質を許してしまっていること自体が問題であると反論しました。
民主党案は、決して公務員の再就職そのものを規制するものではありません。ただし、その権限が及ぶ範囲に関しては、天下りという形で弊害があるため、五年間の禁止を行い、その背景にある肩たたきをストップさせる、問題の本質に切り込んだ法案である旨答弁しました。



