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国家公務員制度改革基本法案

平成19年の「天下りバンク法案」に引き続き、政府は国家公務員の採用から退職まで公務員人事制度全般について定めることとなる国家公務員制度改革基本法案を第169回国会に提出しました。この法案は幹部公務員の人事を一元管理する内閣人事庁の創設を盛り込んでいますが、提出までにその権限をめぐり閣内で意見が対立しました。各府省の幹部人事の原案作成権を内閣人事庁に持たせようとする渡辺担当大臣と、助言にとどめようとする町村官房長官の対立です。私は法案が提出される前段階から内閣委員会において質疑に立ち、当初案から後退している旨を繰り返し指摘しました。しかし結局、政府案は「内閣人事庁も必要に応じ、候補者名簿を作成できるものとする」と後退を余儀なくされ、役人の巻き返しの凄さを思い知らされました。

 

本会議代表質問

5月9日、衆議院本会議において代表質問に立ち、福田総理と渡辺行革大臣に公務員制度改革の本質を質しました。

・公(おおやけ)の意識の劣化

年金記録のずさんな管理、建築基準法改正により引き起こされた官製不況、極めつけは天下りに端を発する税金の無駄遣いなど、官が公共の責任を担うことを放棄しているとしか言いようのないあきれた実態はその枚挙に暇がありません。これは我々国会議員を含む「公(おおやけ)」のために働く公務員の意識の劣化と、国家公務員の人事制度そのものに、その最大の原因があることを指摘しました。

わが国の政策・予算配分を誤らせ、ひいては産業構造までいびつなものにしてきた国家公務員制度の改革は急務であり、公務員自身にとっても文字通り公(おおやけ)を務めあげることで、生きがいを持って働けるかどうかがこの改革にかかっていることを与野党を問わず、議場の議員に訴えました。

・国家公務員制度改革の本質

官僚の魂を蝕んでいる「事なかれ主義」や「責任回避」の精神構造と、各府省が予算・権限の確保を目指す「省益本位主義」は、キャリア制と各府省が握る人事権に深く結びついています。

キャリアと呼ばれる官僚は国家公務員Ⅰ種試験にさえ合格すれば将来の幹部ポストや天下り先が保障され、競争に敗れても身分が保障されるいわば特権階級です。人は地位が保証されれば事なかれ主義や責任回避に走りがちです。また、各府省による人事権の行使は、官僚を、所属する府省の予算・権限獲得に走らせることになります。結果、官僚自らが生き残ることを目的としたシステムが連綿と維持されてきました。

その制度が最も悪影響を及ぼしているのが税金の使われ方です。昇進するにしたがってポストが減っていくピラミッド型のキャリア制度は、大量の早期退職者を生み出します。退職者の職の確保のために独立行政法人など天下り団体とポストが次々と作り出され、それら団体は多額の税金で賄われます。いつの間にか「官僚の天下り先確保」に政策が捻じ曲げられているのです。議院内閣制ではなく官僚内閣制といわれる所以です。

独立行政法人の整理合理化などの改革が進まないのは役人が天下り先の維持を図っているからに他なりません。キャリア制とそれに伴う肩たたきが天下りと税金の無駄遣いの大きな原因となっており、その廃止を求めました。また、公務員制度改革の核心は天下り規制であると同時に、天下り先確保を目指して増長してきた各府省の「省益」の排除にあることを訴えました。

 

キャリア制度の廃止

本会議における代表質問に引き続き、内閣委員会において繰り返し質問に立ちました。キャリア制度問題の本質は「幹部候補の固定化」と「競争のない横並び昇進」です。政府案はこれまでのⅠ種、Ⅱ種、Ⅲ種という試験枠組みを、総合職、一般職、専門職に改めるとしています。競争性が確保されるかが問題ですが、幹部ポスト数が変わらない前提では、幹部候補になる可能性が高いとされる総合職試験採用者の人数がこれまでのⅠ種試験採用者の人数を大幅に超えなければ、競争が起きず、幹部候補の固定化につながります。総合職試験採用者の規模はキャリア制度廃止の根幹であり、繰り返し質しましたが、明確な答弁はなされず、具体的な制度設計は先送りされました。

 

幹部人事の内閣一元管理

省益増大を目指す役人体質の排除にとって最も重要なのは、各府省が独占的に握ってきた幹部職員の人事を内閣で一元管理できるかどうかです。しかし、政府案では各府省が幹部職員の候補者名簿の原案を作成することとなっており、今までと変わっていません。そのため、この点を繰り返し厳しく追求しました。他方、民主党の対案は内閣官房長官が候補者名簿を作成することとされているため、一元管理の実効性を確保しています。結果として修正協議において、与党が民主党案を受け入れたため、公務員制度改革は大きく前進することとなりました。

 

天下りと国会同意人事

平成20年中に設置される予定の「官民人材交流センター」いわゆる「天下りバンク」と、天下り監視機関である再就職等監視委員会は政府の天下り対策にとり車の両輪のような関係にあります。再就職等監視委員会は天下りの監視と、移行期間中の府省による天下りあっせんの承認などを行いますが、再就職等監視委員会の委員の任命には衆参両院の同意が必要となります。日銀総裁人事の時のように参議院で否決される可能性があるため、再就職等監視委員会が機能不全に陥る可能性がある旨を内閣委員会において繰り返し指摘しました。さらに元々の承認権限を持つ内閣総理大臣が権限を再就職等監視委員会委員に委任せずに、直接天下りあっせんの承認を行う可能性について、質問主意書を衆議院議長経由で内閣に提出しました。これに対しては、「再就職等監視委員会が専らこれを行使することが予定されている」との閣議決定された答弁書を得ました(第169国会427番「再就職等監視委員会に関する質問主意書」)。

国会終盤においてこの同意人事が国会に提出されましたが、「天下りバンク」自体を否定する民主党は参議院でこれに反対し、否決され、現在も再就職等監視委員会委員は不在のままです。

 

修正による民主党案丸呑み

国会終盤において、与党と民主党の間で修正合意が成立し、国家公務員制度改革基本法案が成立しました。修正協議開始当初は合意について楽観的な見方もありましたが、案の定与党や政府内部からのゆり戻しがありました。そのため合意は困難との観測も流れましたが、急転直下で合意が成立しました。当時の福田総理としても何らかの成果を上げる必要があったのでしょう。

修正協議では主要な論点で民主党の主張をほぼ勝ち取ることができました。もし、この法案が成立しなければ喜ぶのは霞ヶ関の官僚だけです。完璧ではありませんが修正案の成立は霞ヶ関改革の第一歩として大きな意味を持ちます。

 

修正案の内容

政官接触について政府案は「政務専門官」を置き、それ以外の職員の国会議員との接触を制限する内容でしたが、民主党案をほぼ丸呑みし、接触についての記録の作成、保存、公開により公正性を担保することとなりました。これにより国会議員への情報開示が滞る懸念は払拭されました。

これまで各府省の幹部人事は閣議決定を経て行われてきましたが「省益優先」排除を目指した「幹部人事の内閣一元管理」は徹底されませんでした。上に述べたとおり、理由は人事原案を各府省が作成してきたからです。政府案も各府省が候補者名簿の原案を作成することとなっていましたが、民主党案に歩み寄り、官房長官が候補者名簿を作成することとなりました。

 

残された課題

修正案は今後5年間の包括的な公務員改革のメニューを示したプログラム法にすぎません。省益拡大を目指し続ける官僚機構の改革が成功するか否かは、今後の具体的制度設計にかかっています。厳しく見守らなければなりません。

天下りの禁止については、政府案にもともと入っていなかったため今回の修正案では触れられておりません。天下り先に補助金や随意契約等で巨額の税金が投下されている現状を見れば、天下りは税金のムダ遣いの諸悪の根源であり、この解決が国家公務員制度改革のもっとも重要な部分です。本修正案とは別に、天下り根絶に向けた政策を打ち出す必要があるため、私が中心となり、現在法案を作成中です。政府としていわゆる「天下りバンク」による天下り斡旋を行わないほか、天下り問題の現実的な解決策として、早期勧奨退職制度いわゆる「肩たたき」については禁止することなどを内容としています。

 

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